先日文具の整理をしていたら、ゲルインクや水性のペン、マーカーの本数の多いことに我ながら驚いた。色とメーカ−、ブランド、タイプもさまざま。
この100〜200円のアイテムについては、同じものを長く使っているということはない。
特にこだわりのある商品はなく、必要と思ったときに都度異なるものをお試しで買っていった結果在庫過多になってというわけだ。
こういう買い方をぴったり表すマーケティングの言葉が
「バラエティシーキング」だ。
「バラエティシーキング(多様性探索行動)」とは、わかりやすくいうと、何かものを選ぶ際に、一つのものにこだわるのではなく、いろいろなものを試してみようという行動のことだ。
アメリカの学者アサエルは、製品のタイプを
「関与度(商品に対するこだわりが強いか否か)」と「ブランド間の知覚差異(ブランドの違いを消費者が理解しているか否か)」という2つの軸で示し、それぞれに適したマーケティングが異なるとした。
このうち、「バラエティシーキング」は、「関与度が低くブランド間の近く差異が大きい」というゾーンに属する。つまり、「特にこだわりはないが違いは認識している」というタイプ製品だ。
私の手元に在庫があふれているペンは、まさにこのジャンルの製品であり、私自身が見事に「バラエティシーカー(多様性探索者)」であるわけだ。
売場を見てもおわかりなようにこのジャンルのペンはとても種類が多い。パイロットのハイテックCなどはとんでもないカラーバリエーションだ。実用的に考えるとこんなに必要であるはずはない。
しかし、メーカーとしては、このゾーンの製品については他メーカーにスイッチされるよりましとばかりに、同ジャンルでの自社製品の共食い(カニバライゼーション)を覚悟して商品ラインやアイテムのバリエーションを広げる。つまり、浮気をしても、結果自社製品を買わせるという作戦である。
ちなみに、「関与度:高×知覚差異:高」はブランドロイヤリティの高いこだわり製品である、「関与度:高×知覚差異:低」はデザインや機能を重視するがブランドにはこだわらないもの(家具や家電等)、「関与度:低×知覚差異:低」は日用品等ということになる。
そんな視点で分けてみて自分の購買行動を振り返ってみるのもおもしろい。
あなたがバラエティシーキングする製品やお店にはどんなものがあるだろうか?